鯉は元気をつける自然食品
鯉はその類まれな生命と魚の中でも最も薬効が多く「薬用魚」「療養魚」と言われるほど栄養価に富んでいます。
よく「精がつく」「目によい」「産後の滋養強壮に良い」と言われ重宝されてきました。今では研究が進み、鯉のいろいろな効能が発見されています。薬品とちがい、副作用の心配がない薬膳料理として、ますます注目されています。薬効は魚の中で最も多いといわれる「鯉」。たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラル類をたっぷりと含み、利尿効果や血液循環・肝機能の改善、頭痛・冷え性などにも効果があるといわれています。
母乳の出をよくする鯉
鯉は母乳の出がよくなることをご存知の方も多いでしょう。また、妊娠中のむくみを改善し、産後の母乳の出をよくするために鯉を食べることを佐久地方ではお嫁さんに言い伝えられています。これも中国から伝来した知識です。明の時代の大薬学者・李時珍はその名著「本草綱目」の中で「乳汁を下し、腫を消す」と記しています。つまり、鯉は育児に母乳を飲ませたくても充分に出ない母親にとっては、願ってもない特効食品です。母乳の出ない人、乳腺炎になりつつある人などは、ぜひ鯉を食べてみてください。鯉を味噌汁にして食べれば、さらによいようです。
糖尿病の食事療法に
成人型糖尿病の原因は、過食、運動不足、肥満、飲酒過多などがあげられます。
糖尿病の初期は自覚症状が出ず、発見が遅れると不治の病となり、恐ろしい合併症が忍び寄ってくるので、毎日の生活習慣に気を付けてください。むかし中国では糖尿病のことを「消渇病(しょうかちびょう)」といい、これに鯉がよく食べられました。鯉を食べ始めたら尿の糖が下りなくなり、血糖値が正常にコントロールできた人が大勢おられます。鯉には血糖をコントロールするすい臓から分泌されるインスリンホルモンと同様の作用をする物質が含まれていることが最近の研究で明らかになりました。
糖尿病に気付かずに治療が遅れたり、まだ軽いと思って放置していると10年も経過すると取り返しのつかない合併症が発症します。こういうことにならないように食事療法のメニューに加えてください。
肝臓を守る
元気な肝臓をいかに大切にして生活をするかを考えた場合、鯉は最良の食品といえます。強肝作用のあるアミノ酸のタウリンは鯉の煮汁中に40%も含まれ、飲酒時には解酒毒剤として愛用されています。 二日酔いやお酒による脂肪肝になるのを予防する作用があるのです。鯉の全身を煮たものを食べると、再生肝作用といって、新しい肝細胞がどんどん増殖していくことが判明しました。また鯉には、血中のコレステロールを低下させる作用があり、胆石の予防作用もあることも知られています。
むくみや腎臓病に
鯉は腎臓病によいことは昔から知られています。 とくに、むくみを解消するのに著効があります。腎臓病で体がむくみ、パンパンに腫れあがっているときに、鯉を食べると、一気にその水が体外に排出されるといわれています。腎臓が悪くなり、尿中に多くのたんぱく質がではじめると、水だけが体の中に残り、その結果身体がむくむのです。そういう時には、たんぱく質を補う必要があります。たんぱく質が豊富で、しかも水分を排除する作用のある鯉は、良質の心臓病の治療食品ということができます。
鯉は元気の源
免疫力をつけるには、まず鯉のような栄養豊富なたんぱく食品を欠かさずたべることです。 鯉は免疫担当細胞であるマクロファージの弱っている時に活発にします。
鯉は水中で静止することなく、たえず動き回っています。その姿を見たむかしの人は、鯉を精力のつく食べ物だと考えていました。実際に、体が疲れたときには鯉を食べると、元気も出て、疲労が早く回復します。疲れた時に2、3日続けて鯉を食べると、皮膚にツヤが出、睡眠不足をも改善します。飲酒後に鯉を食べると酒の飲みすぎによる不快感を見事に回復してくれます。
鯉に多く含まれる「アルギニン」というアミノ酸が、疲労回復、成長ホルモンの分泌促進作用を発揮してくれるからです。
全国養鯉振興協議会「鯉の効用」より抜粋